昨日、7月1日は、
香港返還20周年記念日でした。
毎年返還記念日には、
香港の友人たちに「おめでとう」と連絡をするのですが
ここ数年はその言葉を贈ることにためらいを覚えます。
いつも香港を旅する時、
中国へ行くという感覚がありません。
香港はただ香港であって、
どこかの国の一都市とは思えないのです。
イギリスから返還されて20年経った今でも、
英語と広東語が混在する道路標識や
ビルの階数の数え方、
二階建てのバス、英語名で呼び合う人々…
英国文化を感じさせるものがあちこちに残っています。
西洋の文化が東洋の地に入り込み、
そこに住む人たちの解釈によって
少しずつずれながら彼らの生活に馴染んでいき、
どこにもない不思議な都市ができてしまった。
その混沌とした街の在り方が香港の最大の魅力なのだと思います。
旅で訪れる者の勝手な思いかもしれませんが、
どうかその面白さがずっとずっと続きますようにと
願わずにはいられません。
いえ、もちろん、お祝いの言葉を言えないのは、
そんな表面的なことだけのためではありません。
香港生まれ香港育ちの友人が以前話していた、
「50年後には生粋の香港人はいなくなると言われている」
という言葉を返還記念日のたびに思い出します。